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以前公開しておりました強度近視向きメガネについてのページが大変好評頂いておりましたので、2023年版と致しまして新たな情報も追加して公開致します。
結論から言うと、同じ度数・同じレンズでもメガネの選び方でここまで差が出ます。
レンズの厚みも7.4mm~3.7mmと差がありますが、見た目も一般かなり
強度近視や強度遠視の方は
・眼が小さく見える
・レンズが分厚くなる
・メガネが重くなる
・レンズを入れたら印象が変わる
といったようなお悩みが多いのではないでしょうか。
度数が強いと、レンズの設計上ある程度厚みがでて、眼が小さくなるのは仕方ない所もあります。
それでも、少しでも和らげるためにはどうすればよいか、そして強度近視向けのフレームはどんなものがあるのか、ご紹介いたします。
※便宜上「強度近視」とひとくくりにしておりますが、強度遠視や強度乱視も同じ考え方でレンズを薄くすることが出来ます。参考にしていただけたらと思います
ポイント
始めに、どういうメガネが強度近視向きなのかを簡単に説明しておくと、大切なのは「フレーム選び」です。
強度近視向けフレームのポイントは4つ
- レンズと眼の中心を合わせる
- レンズの横幅を小さくする
- 少し派手なフレームを選ぶ
- 頂間距離(目とレンズの距離)を短くする
1. レンズの中心と眼の中心を合わせる
近視のレンズは、中心が一番薄くて外側に行けば行くほど厚みが出ます。目の位置が鼻側だったり耳側だったり片方に極端に寄っていると、同じレンズサイズでも、レンズの中心から外側までが離れてしまうので、結局厚みが出てしまいます。なので鼻側からも耳側からも一番短くなる、レンズの中心と眼の中心を合わせると良いのです。
また、強度遠視や強度乱視の場合も考え方は同じで、レンズと眼の中心を揃えることで薄型加工をした場合に必要最小限のレンズ径が小さくなり、レンズを薄くすることが可能です。
レンズと眼の中心の合わせ方
少しややこしい話になるので、概要だけ知りたい方はこの部分は読み飛ばして構いません。
それでは、どうすればレンズの中心と眼の中心を合わせられるかというと、”適当に試着して大体真ん中あたり”でも良いですが、正確に合わせるには「フレームPDとPDを合わせる」ことが必要です。
フレームPD(玉型中心間距離)とは、フレームの左右レンズの中心から中心までの距離
PD(瞳孔間距離)とは、ご自身の瞳孔から瞳孔までの距離
のことです。
PDはご自身で鏡を見ながら定規で測っても良いですが、メガネ屋で測定してもらった方が正確ですね。
フレームPDは、フレームに書いてあるサイズ表記を見ると知ることが出来ます。(書いてないフレームもあります)
56□16
のように書いてあり、□の前が玉型幅、□の後が鼻幅で、結論は
玉型幅+鼻幅=フレームPD
です。
玉型幅の中心がレンズの中心なので、
フレームPD=右の1/2玉型幅+鼻幅+左の1/2玉型幅=玉型幅+鼻幅
という計算からです。
このフレームPDとご自身のPDをピッタリ合わせることが、強度の場合では大切になります。
※弱度~中度の方では、フレームPD>PDと、数mmフレームPDが大きめの方がお似合いになる場合が多いです。
2. レンズの横幅を小さくする
先ほど書いた通り、近視のレンズは外側に行けば行くほど厚みが出ますし、遠視の場合でも必要径が小さくなるので、レンズの横幅を小さくすることで、レンズを薄くすることが出来ます。
ただし、ただレンズを小さくしただけでは、メガネが小さくなり過ぎてしまい、顔に合わなくなってしまいます。そこで、ブリッジ(鼻の部分)や智(レンズ外側)を広げる必要があるのです。
また、デルブーフ錯視といって、同じ大きさの円でも、大きい円に囲まれると小さく見え、小さい円に囲まれると大きく見える錯覚があります。
小顔効果といって大きめのレンズサイズを選ぶ方がたまにいらっしゃいますが、実は小さいレンズサイズの方が目が大きく見えやすいのです。
3. 少し派手なフレームを選ぶ
メガネは店頭で置いてある度無しのフレームのデザインが良いと思って購入しても、度数が入るとどうしても印象が変わってしまいます。イメージよりも印象が薄くなってしまうことが多いので、度無しフレームで選ぶ際には”少し派手なフレームを選ぶ”ことを意識してみると印象の薄さをカバーすることが出来ます。
初めに出した画像と同じものです。レンズの厚み自体は一番右の「VioRou Eriko-2」が一番薄くなっていますし、自然なデザインで私自身とても好みですが、メガネの印象でいうと真ん中2つの「Onimegane 7810」や「VioRou Mic」の方がレンズの存在感は減らすことが出来ます。
度数が強くてレンズの存在感が強く、目の印象が薄めになってしまう方は「度無しだと少し派手かな?」くらいのフレームを選んでおくと失敗が少ないかなと思います。
4. 頂間距離(眼とレンズの距離)を短くする
近視のメガネは、眼とレンズの距離が離れれば離れるほど目が小さく見えます。
なので、出来る限り眼に近づけたいのですが、近づけすぎるとまつ毛などにぶつかってしまいまうので、まつ毛に触れないギリギリを攻める、このフィッティングがメガネ屋の腕の見せ所です。
フィッティングをしやすくするために、鼻はクリングスがついているものが良いです。
鼻当て一体型のものは、良い面もありますが、フィッティングが出来る範囲が狭いです。
レンズ
レンズについても説明しておくと
1. 薄型レンズ
薄型レンズにすると、確かに薄くなります。それにレンズ端の渦が少なくなるので、強度の方は薄型にした方がいいと思います。
しかし薄型レンズにはデメリットもあって、
- 色のにじみが出る(アッベ数が低くなる)
- 同じ厚みなら薄型レンズの方が重くなる(比重が高くなる)
- レンズが反射しやすくなる(反射率が高くなる)
これらのことから、必要以上に薄型にする必要はありません。
2. 設計
非球面レンズや両面非球面レンズなど、設計の良いレンズにすると薄くなって目も小さくなりにくくはなりますが、実は目に分からないほどほんの少しだけです。
実際にレンズを削ると1mmも違わない程度なので、嘘ではないけれども、レンズ設計で薄さと目の小ささの改善はあまり期待しすぎない方がいいです。
レンズ設計で変わるのは見え具合。良く見えるレンズにしたい場合は設計をよくすると良いです
3. 薄型加工(マイナスメッツ・ファインエッジ)
近視でレンズが厚くなった部分を、レンズの加工で薄く見せることが出来ます。
(参考)東海光学 ファインエッジ加工
https://www.tokaiopt.jp/product/fineedge/
レンズの外側はそもそもあまり見るのに使わない部分ですから、削って薄くしてしまう事が出来ます。さらに「鏡面仕上げ」と言ってツルツルにしてしまうことによって、厚みをきれいに見せることが出来るのです。
デメリットとして、側面で少し光が乱反射するのでチラチラするのと、やり過ぎるとレンズ外側の渦が増えます
3. コーティング
これは薄さ・眼の大きさにはおそらく関係ないです。
コーティングによって眼が小さくなりにくくなるとか書いてあるブログ等よく見かけますが、おそらくコーティングは関係ないと思います。
ただ、低反射コートといって、レンズ表面の反射を通常よりも抑えたレンズであれば、レンズの存在感を減らすことが出来るので、特に強度の方にはおススメです。
意外かもしれませんが
強度近視で大切なのはレンズ選びよりもフレーム選びなのです。
強度近視向きフレーム
今回お見せしたフレームのモデル名等を紹介しますが、初めに伝えた通り「レンズと眼の中心を合わせる」という事が最も大切となります。PD(瞳孔間距離)=65mmの条件ではこのフレームも良いと思いますが、目と目の距離は人それぞれ違いますので、ご自身のお顔とピッタリのサイズをメガネ屋で探すことが大切となります。
Onimegne OG-7810
Onimegane OG-7810
・レンズ横幅:47mm
・鼻幅:19mm
・フレームPD:66mm
・フレーム価格:28,600円(税込)
VioRou Mic
VioRou Mic
・レンズ横幅:44mm
・鼻幅:22mm
・フレームPD:66mm
・フレーム価格:41,800円(税込)
VioRou Eriko-2
VioRou Eriko-2
・レンズ横幅:43mm
・鼻幅:22mm
・フレームPD:65mm
・フレーム価格:41,800円(税込)
今回紹介したように、強度近視でもレンズが厚くならなかったり、目が小さくならなかったり、逆にレンズの厚みを生かす方法はありますので、強度近視の方でもメガネでのお洒落をあきらめずに、メガネを楽しんで頂きたいです。